colnyago’s diary

勝手気ままに書き散らかしたものです

非正規研究者の雇い止め問題

news.yahoo.co.jp

正規雇用の若手研究者の雇い止め問題。

東北大に限らず、この20年ほどはポスドク1万人計画により、人余になってしまい日本のどこの大学でも多かれ少なかれこの問題は存在する。

ただ、研究者の場合はどうしても業績主義になってしまう。

3年や5年などで有期雇用となったときに、契約内容によっては、その間の業績を評価して再雇用、という感じで付帯条件がつくことが多い。

この業績とは、論文の質と量である。研究者の場合、どうしても結果主義にならざるを得ない。それはそうである。証明できない夢みたいなことばっかり言ってうつつを抜かされても困るし、研究してくれるだろうと思って雇っているのにほとんど研究室でおしゃべりばかりでも困る。

その昔、まだ日本の大学の大部分の教員が無期雇用だった頃の話である。当たり前なのだが、一旦助手(今の職階で言うと助教)で採用されると、定年までいられることになり、歳を経るごとに研究意欲が低下し、結局、ほとんど学術的活動はしないので周りからは白い目で見られつつもしっかり定年まで居続ける”万年助手”がいたものだ。

これらの人たちをどうにかしたいために、大学教員を無期雇用から有期雇用へと切り替えた経緯も実は裏にあるのだ。ちょうど、ポスドク1万人計画の時期と合わせるように改革が始まった。政府としては、万年助手をはじめとする、あまり研究のできない教員を整理して、ちゃんと研究ができる若手に切り替えていけばいけるだろう、と言う胸算用だったことが透けて見える。

まあ、これがうまくいかなかった。

雇い止め問題に関しては、研究者の場合、やはり業績は必要で、5年とか10年の契約を結ぶときに、きちんと文章でどの程度の業績が必要なのか明示しておかないと、後出しジャンケンになってしまうのでまずい。多分、今回問題になっている東北大の有期雇用の契約書にも明示されているだろうけれども。

私も今は無期雇用だが、ひと昔くらい前までは有期雇用だった。その間しんどかったけれども、時間との戦いの中で、どうすれば効率的に実験をして論文を書けるのか、そればっかり考えていた気がする。しかし、その時に、結構実験ができたので、ポジデータ/ネガデータは元より、その時はよくわからないデータが実は今の研究テーマのいくつかの元となったりもしているような副産物もある。また、確実に時間の使い方も年々上手くなっていったことは実感できていた。

まあ、それもこれも、有期雇用なのに、自由度が非常に高い研究室にいられたことがよかったのだ。指導教官や上司は、お金を取ってきてくれるのに、我々の実験についてはほとんど口出ししなかった。もちろん、実験についての方法論や結果、データの解釈などについては、毎日厳しいディスカッションがあった。これは楽しい知的ゲームなので問題なし。こうやって日々理の詰め方を学んでいくので、むしろ無いと困るし、できなければ研究者をやってはいけない。

きちんと、毎年論文書いて、どこかに掲載されていて、学会発表もそれなりにできていれば、科研費が取れるようになる。それプラス(こっちの方が実は大事だったりする)、何か教育経験(大学の非常勤などでの授業や実習がベター)があれば、あとはマッチングだけ。マッチングとは、公募している大学が受け持ってほしい科目や研究内容がきちんと合うかどうかのこと。

有期雇用の間に、ちゃんと上記の準備ができるかどうか、と言うのも大事だ。雇用される者はもちろん努力しなければいけないし、雇用主は努力をきちんと評価しなければいけない。