colnyago’s diary

勝手気ままに書き散らかしたものです

やっぱり、選択と集中は良くないかもね

www.asahi.com

山中先生による、iPS細胞の発表から、ノーベル賞受賞、そして、国を挙げての研究の活性化、という一連の出来事があった。しかし、先日の朝日新聞に掲載された記事では、この10年の間に、世界各国、主に、アメリカ、中国、ヨーロッパに、iPS細胞関連の論文数や特許数において、かなり追い上げられている、あるいは逆転されたところまで来ているとある。およそ、この10年で、iPS細胞関連に、1000億円もの研究費をつぎ込んできたので、なかなか厳しい。

また、1週間くらい前に、筑波大学から、面白い論文が発表された。生命科学・医学分野において、ある程度までは研究費が増えるほど多くの新しい成果に結びつくが、5000万円を超えると、研究費が増えても成果は伸びない、という報告だった。これは、考えさせられる。その論文の紹介は下記。

www.tsukuba.ac.jp

この10年のiPS細胞関係の研究費は、どちらかというと、新しい更なる発見に、というよりは、応用のための研究費というほうが近いと思う。なので、基礎と応用を一概には言うことはできないが、あまりに高額の研究費をもらっても、応用研究においても成果は伸びにくいことの証左かもしれない。

私も、昔5000万円の研究費をもらったことがあったが、半分以上は人件費で、成果は、若手Bとか基盤Cの500万円位(実際は6掛けされるので300-400万円くらいになる)の研究費をもらっていた時とそんなに変わらなかった経験がある。全部がそうではないが、この筑波大の研究結果は、とても腑に落ちる。

国は政策として、過度の選択と集中は避けて、いわゆる基盤Bとか基盤C、若手Bを増やして、「少額の研究費を多くの研究者に配る」という方向にシフトしたほうがよいと思う。

この20年くらい国がやってきたことが、研究成果というものに対して、逆効果だったと感じる。今も、ほんの2−3校の卓越大学に巨額の研究費をつけるより、多少の差はあっても良いが、日本全国のより多くの大学に分配金や研究費をつけたほうが、結果的には、多くの研究者、研究分野の活性化につながっていくと思う。常に新しいものを芽吹かせるイメージかな。